次世代の重力波観測装置に取り組む

「どれくらい大きいの?10倍だと思いますか?」と、VAT-US ADVマネージャーのJoshua Le Beauが尋ねます。「干渉計の真空容器を現在の34kmから40kmに拡張するためのコストを試算すると、次世代天文台の最終コストを大幅に削減するためには、幅広い技術と材料を調査する必要があることは明らかです」。

現在のLIGOシステムのために開発された真空技術(VATの真空バルブを含む)は、真空度、水素や重分子のアウトガスが極めて少ないこと、微粒子の発生が少ないこと、低振動であることなどの厳しい要求を満たしています。今回のワークショップでは、真空バルブメーカーとして唯一VATが招待され、真空に関する専門知識を提供しました。

アメリカとEUでの新しいプロジェクト

NSFのワークショップが終わる頃には、参加者たちは、計画中の次世代重力波観測所の心臓部である巨大な真空システムの設計、建設、運用のコストに大きな影響を与えるような技術的ソリューションを開発できると確信していました。現在、米国の「CosmicExplorer」とEUの「EinsteinTelescope」が、このワークショップの成果を取り入れています。

3世代の重力波観測装置は、現在の観測装置よりも桁違いに高い感度を持ち、宇宙の歴史の中で重力波の発生源を検出することになります。現在のLIGOではほとんど検出できないような天体も、驚くほどの精度で検出できるようになります。検出される天体の数を年間数百万個にまで大幅に増やし、観測の鮮明さを向上させることで、基礎物理学の小さなスケールから宇宙論の大きなスケールまで、物理学や天文学に幅広い影響を与えることになります。

宇宙を見る新しい方法

「重力波天文学は、LIGO(およびパートナー観測所であるVIRGO)によって実現され、宇宙を見るためのまったく新しい方法を切り開きました。LIGOによる画期的な成果は、重力波の探索の始まりに過ぎません」とJoshuaLeBeauは付け加えます。「しかし、米国とEUのプロジェクトを含む、より大規模な第3世代の観測所は、今後10年間で膨大な量の研究開発を必要とするでしょう」と述べています。

NSFワークショップの参加者であるVATは、新しい重力波観測所に必要な超大型超高真空システムの開発において、重要な技術パートナーです。このエキサイティングな新しい科学的事業の進捗状況については、今後のレポートでご紹介します。