RISPは、もともと韓国に重イオン加速器(RAON)を建設するための基本計画として2012年に設立されました。RISPが2021年中に完成するで、韓国の基礎科学研究院(IBS: Institute for Basic Science)による希少同位体の先端研究が可能になります。IBSは現在、全国に30の研究センターと68の研究グループを設置しています。その本部は韓国の大田にあり、ここでRIPPプロジェクトが実現しています。

加速器へのこだわり

RISPのメインプラットフォームとなるのが、RAON(Rare isotope Accelerator for ON-line experiments)です。RAONは、重イオン加速器を中心とした大規模な科学研究施設で、重イオンビームによるイオン化装置、加速器装置、希少同位体製造装置、VAT製真空バルブ、さらに高度な研究機器など、最先端の原子力・応用科学研究に必要なものがすべて揃っています。大田市郊外に建設される素粒子物理学研究所は、2021年の完成を目指しています。

RAONは、水素イオン(陽子)またはそれ以上の重イオンを加速させターゲットと相互作用することで、希少同位体を生成するよう設計されています。その結果生じる現象を分析して、新たな気性同位体の特徴を明らかにしていきます。最先端の超伝導電波技術を用いて設計されたRAONは、稼働開始時には世界で最も先進的な加速器の一つとなることでしょう。

「RAONの研究者たちは、プロジェクトの複雑さゆえに、欧州原子核研究機構(CERN)、フェルミ国立加速器研究所(Fermilab)、トライアンフ研究所(RIUMF)、理化学研究所(RIKEN)など、他の多くの加速器研究グループと協力しています」と、オールメタルバルブのVATプロダクトマネージャーであるクルト・ソンデッレガー(Kurt Sonderegger)氏はコメントし、「これらの研究グループがすべてVATの顧客であることは偶然ではありません」と付け加えました。

VATは過去40年以上にわたり、世界中のほぼすべての主要な加速器プロジェクトに協力してきたため、VATの製品開発チームは、LISPのコンセプトデザインの段階から参加していました。

VAT製バルブの特別な挑戦

VATは,セクターの隔離弁としてRFオールメタルゲートバルブ(シリーズ47.2)を、ポンプの隔離弁としてオールメタルアングルバルブ(シリーズ54.1および57.1)を提供しました。

「VAT製オールメタルバルブの主な利点は、信頼性の高いオールメタルシーリング技術、実績のあるバルブメカニズムと空圧バルブのショックフリーオペレーション、そしてクリーンさです。」とRISPプロジェクトのVATプロジェクト・コーディネーターであるジャン・フン(Jang Hun)氏は説明し、「VAT製の部品は、VATでも定評ある製造・洗浄工程を含め、最高の品質基準に従って製造・梱包されています。」とも言っています。

VAT製RFゲートバルブは、RAONレイアウトの限られたスペースに収まるよう、カスタマイズされた幅の狭いコンパクトな空圧アクチュエータを採用しています。RISPは3段階の長期間にわたって実現されたため、バルブが設置されるまで確実に保管できることが重要でした。銀メッキで仕上げられたバルブ内部にある部品の一部の酸化を防ぐために、バルブはVATの長期パッケージで納品されました。

VAT製オールメタルバルブは、加速器やシンクロトロンで使用される真空バルブの世界的な標準となっており、特にRAONの超伝導高周波(SRF)環境に適しています。

「RISPが完成すれば、元素の起源の分析と発見、宇宙の始まりと膨張、星の進化についての理解を深めることができます。ワクワクするようなプロジェクトですね!」とクルト・ソンデッレガー氏は結論づけました。